子供が足を痛がった時、まず疑うのは捻挫か成長痛…。子供の様子から「歩けるから冷やしておけば大丈夫だね。」と言ったり、「関節が動くから骨は折れてないね。」と言っていませんか?
実際は、子供の骨は私たちが考えている以上に柔らかく、骨折しやすいのだそうです。素人判断に頼らないで、ぜひ整形外科を受診しましょう。
骨折の種類は傷と折れ方による2つの分類がある!
骨折には主に、傷の有無による分類と、折れ方の程度による分類がされています。
傷の有無による分類について
傷の有無により、閉鎖骨折と開放骨折に分けられます。
- 傷がないもの
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閉鎖骨折(単純骨折、皮下骨折)…通常骨折と呼ばれているのは、この傷を伴わないものがほとんどです。
- 傷があるもの
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開放骨折(複雑骨折)…折れた部分と皮膚の傷口がつながっているもの。ばい菌が入りやすいので速やかに病院へ行く必要があります。
バラバラに折れている骨折(粉砕骨折)とは違うのですが、複雑骨折という音の響きから勘違いしている人が多いようです。
折れ方の程度による区別の仕方
折れ方の程度により、完全骨折と不完全骨折・亀裂骨折に分けられます。骨がズレるズレないなども関係しています。
- 完全骨折
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通常「骨折」と呼ばれている最も一般的な骨折のこと。完全に骨が折れており、折れた部分がズレてしまうことがあります。
ズレがひどい場合は骨折部分を戻す処置(整復術)が必要になります。
- 不完全骨折、亀裂骨折
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一般的に、「ヒビが入った」と言われるのがこの骨折のこと。完全には折れていないため、骨がズレることはありません。
その他の骨折についても紹介します
上記で述べたような骨折遺体にも、傷を伴わない骨折もありますので紹介させていただきます。
- 若木骨折
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子供の骨は大人に比べて柔らかく弾力性があるため、大人のようにボキッとは折れません。若木や竹などがしなるように曲がったものがこれに当たります。
- 裂離骨折
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以前は剥離骨折と呼ばれていたもので、成長期に多い骨折と言われています。
捻った際や筋肉が急に縮んだ際、大人であれば腱や靱帯が切れますが、子供は骨が成長過程にあり弱いため、くっついていた骨が剥れてしまいます。
実体験を紹介!子供が足首を捻ったと思っていても骨折の可能性が…
実は我が子もつい数か月前、生まれて初めての骨折を経験しました。きっかけは習い事のスポーツ教室で走っていた時のこと。
低めの障害物を飛び越えて着地したときに足をくじいたのだそうです。
すぐに先生に冷やしてもらって椅子に座り、私の迎えを待っていました。
先生からは「足を捻挫したのですぐに冷やしました。少しひねった程度なので大丈夫とは思いますが、もし痛がるようでしたら病院を受診してください。」と言われ、その日は帰りました。
歩くのは痛そうでしたが歩けないほどでもなかったので普通に入浴もして、念のために湿布を貼って寝かせました。
でもその夜は、寝ぼけながらも「痛い。」と言って目を覚まし、朝起きた時も「これでは歩くのが大変だね。」と、私が見て思うくらいでしたので整形外科を受診することにしました。
整形外科にて
整形外科へも歩きにくそうにはしていましたが自分で歩いていた様子から、「たぶん捻挫だ。」と信じて疑いもしなかった私です。患部の腫れも、診察前湿布を外した時に初めて「あれ?腫れているのかな?」と気づいた程度。
でも足を地面につくのが痛いようで、先生に「ちょっと歩いてごらん。」と言われてもなかなか足をつけようとはしません。
そしてレントゲン写真を見ながら触診した先生からは、「お母さん、折れてますね。」と言う一言です。
それを聞いてもにわかに信じがたかった私は、「えっ?どこをですか?」と聞くと、診察が長いことで有名なその先生はとても詳しく丁寧に教えてくれました。
診断は、足関節外果骨折。聞きなれない響きですが実はこれ、子供にはとてもよくある骨折なのだそうです。
それって捻挫じゃないの?
症状は、関節の出っ張っている部分である外果(外くるぶし)の前や下に痛みがありその周辺が腫れます。
程度の差により靭帯が伸びる程度の損傷、靭帯の一部が切れるもの、靭帯が完全に切れるものという順に重症度が増していきます。
大人の場合は「骨折かと思っていたら靭帯が切れていた。」というケースも多く、「骨折の方が治りが早いのに、靭帯の方が完治まで時間がかかる。」と言う話を耳にすることも多いことでしょう。
骨折している可能性が?!
それが子供の場合、足関節を捻って靭帯が引っ張られた際に、その先にある骨の方が柔らかいため、靭帯が切れるのではなく骨の方が損傷を受けることが多くなるのだそうです。
整形外科の先生曰く、子供が足首を捻った時はほぼ85パーセント以上捻挫ではなく骨折なのだとか…。
整形外科では怪我をしていない方のレントゲン写真も撮って比較をしたり、それでも分からない場合はCTを撮ったりすることで診断することもあるのだそうです。そのくらい見落とされてしまいやすいんですね。
そういえば私の周りにも、捻挫だと言われて湿布を貼っていたにも関わらず、なかなか治らないことで気になった母親が、違う病院に連れて行って骨折が初めて分かったという子がいました。
またその他にも、違う怪我でレントゲンを撮ったときに過去に骨折をして治った痕跡がうつっていたというケースもあり、骨折に気づかないままということも大いにありうるのだそうです。ビックリですよね。
足関節の骨折について!足関節は主に3つの骨で構成されている
足関節(そくかんせつ)は主に脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、距骨(きょこつ)の3つの骨で構成されています。
膝から足首までを構成している骨のうち、脚の内側前面を脛骨、外側背面を腓骨と言います。足関節の脛骨遠位部を内果、腓骨遠位部を外果と呼び、今回の外果骨折はこの後者の部分にあたります。
中でも、今回の外果骨折のような場合、ずれがなければ歩けることもあるのでより注意が必要になります。
骨折の治療方法について!プラスチックのギブスが主流です
多くの場合、治療はギプス固定ということになりますが、今のギプスはプラスチックが主流ってご存知でしたか?私自身、子供の頃に骨折をしたことがなく、初めて経験したのは大人になってからのもの。
それも固定はシーネと呼ばれる添え木のタイプしか知りませんでしたので、ギプスと言うと、「石膏で固めて…。」というイメージのまま。今回初めてプラスチックのギプスを見ることになりました。
一見包帯のように見えるものを水で濡らし、固定する部分をぐるぐる巻いて行きます。巻き終わってしばらく時間を置くと、あら不思議!カチンカチンに固まっています。>
この包帯のように見えたものの正体こそが水溶性のプラスチックできているギプスというわけです。
水に濡れることは厳禁ですが、石膏のものと比べて軽く、ギプスを外す時も超音波カッターのため、誤って皮膚を傷つけてしまう心配もありません。
固定期間は安静にではなく、普通に歩いてOK!
そして一番驚いたのが、このギプスで固定してしまいさえすればあとは「普通に歩いていい。」ということ。松葉づえも使わないのです。
義肢装具士の先生曰く、「大きくなるにつれて(頭で考えてしまうため)歩くのが下手になる。」そうで、「赤ちゃんだったら普通にハイハイするし、幼稚園の子ぐらいだったら走っちゃうよ。」というくらいなんだそうです。
確かに、慣れるまでは歩きづらそうな様子はあるものの、あんなに地面に足をつけるのがつらそうだったことが嘘のように普通に歩けてしまいます。固定してしまえば痛くないのは本当のようです。
また同時に、「出ているところはできるだけ動かして!」という指示もありました。
「安静にしていないと、骨がくっつかない。」と思って、母親なんてそれこそ怖くて子供に「じっとしていなさい。」と言いたくなりますが、「あまり動かないでじっとしているのは却って良くない。」のだそう。
骨折部が動いてしまうことがない限りは、その周囲の関節や筋肉は動かした方が良い場合が多いということも初めて知りました。「ギプスをして歩く」なんて半信半疑でしたが…。
傷害保険の内容を確認し請求を忘れずに!
皆さんは、傷害保険には加入していますか?
保険金を請求するような事態になって欲しくないのは当然ですし、保険金請求なんて大事故を起こした時のような印象が強いのですが、このような軽度の怪我でも保険金を請求できる場合があります。
そのため、お子さんが男の子の場合や日常的にスポーツをする機会の多いお子さんの場合には、ぜひ傷害保険に加入しておくことをおすすめします。
保険会社もプランも沢山ありますが、日頃は「保険料が高い!!」と感じるような手厚い保険の場合、こんな比較的軽度の怪我の時に(こそ?)その有難さを実感です。
また、固定箇所や固定の範囲によっても違い、日常生活に明らかに支障があると思われるもの(今回のようにふくらはぎから足首にかけての固定)の場合、固定期間中の日数は通院日数として換算されることも…。
つまり、(例えば2週間ギプスの固定をした場合)通院一日あたりの金額×14日分と、それ以降のリハビリ治療で通院した日数分の保険請求が可能になります。
加入している傷害保険があれば確認してみましょう。まだ加入していない方は、お子さんが万が一怪我をする可能性も考えて(スポーツをする頻度にもよります)、一度調べてみるといいかもしれません。
親としては、我が子が怪我などしないで大きくなって欲しいと願うものですが、子供というのは私たちが思うより簡単に怪我をしてくる生き物ですから…(泣)。
子供が訴える「痛い」の程度は、素人判断せず少しでも怪しいと感じたら、必ず病院を受診しましょう。骨折に気づかないままなどとなってしまっては大変です。